連載第5回 WBCチェコチーム奮戦記
★ WBCの結果は?
2023年WBC(ワールドべースボールクラシック) 大会は3月22日に終わりました。優勝は、劇的な試合を戦い切った日本チーム。チェコチームは予選リーグBで熱戦を繰り広げました。まずは中国との第1戦。劇的な9回のムジーク外野手の逆転3ランホームランで勝利! これで、次期WBCへの出場権も獲得しました。チェコ応援団が沸きに沸いたのは、当然のことでした。
また、対日本戦では、1回にチェコが1点を先取。チェコ勝利への期待を持たせましたが、2対10で敗戦。ただし、3回には先発のサトリア投手が、米リーグで活躍する大谷翔平選手から3球3振をとり、健闘。さらに4回には、佐々木朗希投手(ロッテ)の162キロという剛速球を膝に受けながらも、1塁に走ったエスカラ内野手など、そのスポーツマン 精神に観客席から大きな拍手が送られました。このデッドボールには後日談があります。それはのちほど。結局チェコはリーグ戦Bで4位となり、準決勝には進めませんでしたが、アマチュアという選手たちの経歴も話題となり、相手をリスペクしての試合ぶりが、日本人の心を大きくつかんで、チェコファンを増やしたのは疑う余地がありませんでした。
★ WBC後の交流
さて、佐々木投手のデッドボールですが、佐々木投手は数日後、チェコ選手が宿泊しているホテルを訪れ、デットボールのお詫びにと、両手いっぱいのお菓子とサインボールをエスカラ選手に渡したのでした。これに感動したハジム監督。この逸話が、やがて監督と選手2名の再来日とつながったのです。2023年10月、ハジム監督とムジーク選手、サトリア投手が再来日し、ロッテ球場で、対日本ハム戦にハジム監督が始球式。監督は始球式を終わり「チェコでは始球式には打者が立たないんだが、日本では打者が立ったんで緊張したよ」と言っていました。
その後の記者会見には、「根性」の手ぬぐいをして登場。記者たちの質問に、テキパキと答えていました。筆者の「お詫びにチェコのお菓子を沢山持ってきたそうですが、どんなお菓子ですか?」という質問に、「チェコで人気のハシュレルキ、ピカオ、トフィークなどです」とのお答えでした。「WBCが終わって、チェコに帰国される時には、どんなお土産を買いましたか?」には、「ハチマキ」とのお答えでした。記者会見で使っているハチマキは、きっとその時のものでしょう。最初は「必勝」、「根性」と続いて、次回は何という言葉のハチマキを使うのか?興味は尽きません。
WBCが終わって一年。チェコチームの素晴らしいスポーツマン精神がどのように育くまれているのかと、栗山日本チーム監督がチェコへ飛んで取材しました。そのTV放映があり、さらにチェコ野球への関心が高まっているのは、嬉しいことです。(完)