連載第3回 WBCチェコチーム奮戦記

連載第3回 WBCチェコチーム奮戦記

★ WBC世界野球選手権大会欧州予選

チェコチームの帽子
チェコチームの帽子

 チェコ野球が日本では知られていないのと同様、ヨーロッパでの野球もあまり日本では知られていません。でも、WBC欧州予選があるのですから、ヨーロッパでもある程度の国々で、野球チームがあるのは当然です。

 チェコ野球は世界ランキング15位。ドイツが18位、スペインが19位ですから、ヨーロッパ野球の強さは想像できるでしょう。ただし、チェコのハジム監督によれば、かつてのチェコは最も弱い部類に入るチームで、イタリアに練習試合を申し込んでも「弱いからお断り」と言われていたそうです。
 2022年秋のWBC欧州予選は、ドイツで始まりました。もちろん野球関係者の最高の夢は、WBCで戦い、優勝することです。ヨーロッパでは野球が盛んでないとはいえ、どの国も必死で予選突破を目指します。

エルコリ投手。普段はサラリーマン。今年来日時の写真
エルコリ投手。普段はサラリーマン。
  今年来日時の写真

 チェコは、欧州予選ではA組に入りました。さあ、A組第一戦でのチェコ対スペイン戦はどうだったでしょうか?何と! チェコは7対21の7回コールドゲームで、惨敗。しかし、悔やんでばかりはいられません。こうなったら、 敗者復活戦で、頑張るしかありません。
 第2戦の敗者復活戦の相手は、フランス。チェコが自国リーグのアマチュア選手だけのチームだということは、周知の事実です。それに対して、フランスは、米メジャーリーグで活躍していたブルース・ボウチ監督のもと、米大学野球のホープといわれる若手選手、米マイナーリーグの経験者など、他国の優秀選手を含めた、手ごわい混成チームでした。こうした苦難の場で頑張るのが、チェコ人魂とその根性! チェコは、チームの広報とマーケティングを担当しているエルコリ投手が4回を無失点に抑え、フランスに7対1で勝利! 
 さて、第3戦の相手はドイツ。2点を先制されましたが、すぐにジーマ選手が2ランホームランを放ち、同点に。結果は8対4でチェコの勝利!

ムジーク選手。欧州代表決定戦で2ランホームランを放ち逆転。本選の東京ドームでも中国戦で3ランホームランを放ちチェコを勝利に導いた。
ムジーク選手。欧州代表決定戦で2ランホームランを放ち逆転。本選の東京ドームでも中国戦で3ランホームランを放ちチェコを勝利に導いた。

 
 いよいよ代表決定戦です。相手は、初戦で大敗したスペイン。その二の舞は決して踏めません。先発のシュナイデル投手が、1回裏に1失点。ところが2回表にムジーク選手が2ランホームランですぐに逆転! シュナイデル投手からミナリク投手への継投が成功し、3対1でスペインに勝利。ついに欧州代表権を勝ちとったのでした。初戦の惨敗から優勝の歓喜へ。劇的な欧州予選突破だったのです。(つづく)


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